ルドン 秘密の花園展
三菱一号館美術館にて開催されている「ルドン―秘密の花園」展に行ってきた。オディロン・ルドンは19世紀のフランスにて活躍した画家でボードレールの悪の華の表紙画等で知られている。私は元々ルドンの柔らかな色彩とパステルのタッチ、夢見心地でありながらどこか不穏な作品が大好きだったので展覧会もとても楽しく見れた。
今回は三菱一号美術館が所蔵している《グラン・ブーケ(大きな花束)》を中心に彼が描いた植物画や担当した男爵の食堂装飾の作品を展示した展覧会となっている。色鮮やかな作品から木炭等で描かれたモノクロームの作品、そして灰色やセピアのような黄色で統一された室内装飾群といった展示作品を見ていると、ルドン独特の色彩センスに心打たれる。会場内のキャプションにて、彼がかつて教えを受けていたカミーユ・コロ―から「不確かなものの傍らに確かなものを置くといいよ」と言われたことを自伝で語っていたという事実が記されていたが、その不確かさは色彩によって表現されていたのだろうと感じる。緩やかな白昼夢とも悪夢とも思える彼の描く「夢」は水色と薄いピンク、そしてクリーム色に近い白を用いることによって鑑賞者を微睡みへと誘う。不確かな色彩は確かな生命である植物や建築と対比されている。また肖像画に描かれた男爵夫人はくっきりと濃い色彩を使いリアリスティックに描かれているが、背景は曖昧に彩色されており、確かさと不確かさの対比を感じた。
ルドンの世界は深く広く、それこそ人間の集合的無意識のような掴めなさと親近感がある。彼のただそれを表現しようとする姿勢に芸術家としての精神を感じる。霊感と書いてインスピレーションを受け取れるのでおすすめ。
- 作者: オディロンルドン,Odilon Redon,藤田尊潮
- 出版社/メーカー: 八坂書房
- 発売日: 2008/05/01
- メディア: 単行本
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