ヴェニスに死す
前々から気になっていたけれど、ドイツ語の先生におすすめされて遂に読んだこの本。
読み終わった後の困惑と興奮が忘れられない。
これこそ耽美!穏やかじゃねえ!!@トータルテンボス
トーマス・マンと実吉さんの訳が合わさってこの境地に達したんだろうな、と思うわけです。
タッジオについての描写がほんとうに緻密で、神話の比喩を介してタッジオという少年が崇高なものへと高められていた。。。
やはりこの作品の核って”美”なんだよね、
美に惑わされたアッシェンバッハの破滅の物語なわけで。
美の哲学についての授業で学んだことや、前々から考えていたことがこの中にあった。
やっぱり肉欲とかすべてのものをそぎ落とした純粋な愛という感情がどこに芽生えやすいかといったらそれは同性間なのだと。(別に異性間に生まれないというわけではないけれど)
女女、男男。精神的な愛?
しかし、相手の美を愛するって、それって相手のことを本当に好きだということなのだろうか。
まあ、好きではあるんだろうけど。それは純粋な愛ではあるんだろうけども。
難しいものだね。
そして私の謎の性癖が生まれたのをここに告白すると、ショタコンのおじいちゃん萌え。という。。。
ショタコンではないのです、ショタコンのおじいちゃんに萌えるのです。
なんだこれ。
しかし、この原題、Der Tod in Venedigなわけで。まあ大体想像つくだろうけど直訳は”ヴェニスにおける死”ですよ。ゲーテの詩でも死と少女、Der Tod und Maidenみたいなやつあったと思うんだけど。まあそのゲーテ詩が直訳なのに対して、この実吉さんは「ヴェニスに死す」というね、めちゃめちゃカッコいい訳してるのに感動します。この小説の雰囲気をすべてこの題に集約できてる。なんだろう、死すって本当「ヤムチャ、死す」みたいな感じですごく大きな死とかを表現するときに使うことが多いようなイメージがある言葉。まあとりあえずすごくかっこよくてしびれます。ボキャ貧なんでもうとりあえずかっけーって言っときます。
ヴェニスに死す (岩波文庫) (2000/05/16) トオマス マン 商品詳細を見る |